病院で「レントゲン」や「CT」という言葉を聞いたことはありますか?どちらも体の内側を調べるための検査方法ですが、いったい何が違うのでしょうか?今回は、レントゲンとCTの違いについて、わかりやすく説明していきます。
レントゲンとCTの違い:基本のまとめ
まずは、レントゲンとCTの違いを簡単にまとめます。
- レントゲン:体の内部を平面的な写真で写します。骨折や肺炎などの発見に役立ちます。
- CT:体の内部を輪切りにしたような画像で写します。レントゲンよりも詳しく、臓器の形や異常を調べることができます。
違いその1:写し方の違い
レントゲンとCTでは、体の写し方が大きく異なります。
レントゲンは、体を「X線」という特別な光で照らして、その通り道をフィルムやデジタル画像として記録します。まるで、影絵のように、体の内部を平面的な写真として見ることができます。レントゲンは、主に骨の異常(骨折など)や、肺の病気(肺炎など)を見つけるのに適しています。
一方、CTは、X線を体の周りから360度方向から当て、コンピュータで解析して、体の内部を輪切りのように写した画像を作ります。この輪切り画像を重ね合わせることで、立体的な画像を見ることもできます。CTは、レントゲンでは見つけにくい、臓器の異常(腫瘍など)や血管の状態などを詳しく調べることができます。
例えるなら、レントゲンは一枚の写真、CTは本のページをめくるように、体の内部を順番に見ていくイメージです。
このように、写し方の違いが、レントゲンとCTの大きな違いの一つです。
違いその2:見つけられる病気の違い
レントゲンとCTでは、得意なこと、つまり見つけやすい病気が異なります。
レントゲンは、骨が写りやすく、骨折やヒビといった骨の異常を素早く見つけるのに役立ちます。また、肺に水が溜まっている(胸水)や肺炎といった肺の病気も、レントゲンで確認することができます。レントゲン検査は、比較的短時間で済み、検査費用もCTより安価です。
CTは、体の様々な組織を詳細に写し出すことができるため、脳出血や脳梗塞といった脳の病気、肺がんなどの腫瘍、内臓の異常などを詳しく調べることができます。また、CTでは、血管を詳しく見るための造影剤を使用することがあります。造影剤を使うことで、血管の詰まりや異常を見つけることができます。
CTは、レントゲンよりも多くの情報を得ることができるため、病気の早期発見や正確な診断に役立ちます。
どちらの検査を選ぶかは、医師が患者さんの症状や疑われる病気によって判断します。
違いその3:検査にかかる時間と費用の違い
検査にかかる時間と費用も、レントゲンとCTでは異なります。
レントゲン検査は、通常、数分で終わります。検査台に寝て、X線を浴びるだけなので、患者さんの負担も少ないです。また、検査費用もCT検査に比べて安価です。
CT検査は、レントゲン検査よりも時間がかかります。検査時間は、検査する部位や目的によって異なりますが、通常10分から30分程度です。CT検査では、体を機械の中に入れる必要があり、検査中に体が動くと画像がぼやけてしまうため、じっとしている必要があります。また、CT検査は、レントゲン検査よりも費用が高くなります。
検査時間と費用は、検査を受ける際の重要な要素の一つです。医師は、これらの要素も考慮して、最適な検査方法を選択します。
違いその4:被ばく量の違い
レントゲンとCTは、どちらもX線という放射線を使用するため、被ばく量にも違いがあります。
レントゲン検査は、比較的被ばく量が少ない検査です。しかし、妊娠中の女性や、子供は、放射線の影響を受けやすいため、レントゲン検査を受ける際には、医師とよく相談する必要があります。
CT検査は、レントゲン検査に比べて被ばく量が多くなります。CT検査では、体の周りからX線を当てるため、レントゲン検査よりも多くの放射線を浴びることになります。しかし、CT検査は、病気の早期発見や正確な診断に役立つため、必要な場合には、医師の指示に従って検査を受けることが重要です。検査を受ける際には、医師から被ばく量やリスクについて説明があります。
被ばく量の違いを理解した上で、必要な検査を受けることが大切です。
レントゲンとCTのその他の違い
レントゲンとCTは、検査方法や見つけられる病気が異なるだけでなく、その他の点でも違いがあります。以下に、いくつかの例を挙げます。
- 検査できる体の部位:レントゲンは、全身の骨や胸部、腹部など、様々な部位を検査できます。CTは、頭部、胸部、腹部、骨盤など、より詳細な検査が可能です。
- 造影剤の使用:CT検査では、血管や臓器をより詳しく見るために、造影剤を使用することがあります。造影剤は、アレルギー反応を起こす可能性があるため、事前に医師に相談する必要があります。レントゲン検査では、造影剤を使用することは比較的少ないです。
- 検査時の姿勢:レントゲン検査では、立った姿勢、座った姿勢、寝た姿勢など、様々な姿勢で検査を行います。CT検査では、基本的に仰向けの状態で検査を行います。
これらの違いも、検査を受ける際の重要な要素となります。
このように、レントゲンとCTは、それぞれ異なる特徴を持っています。どちらの検査も、病気の診断に役立つ重要なツールです。検査を受ける際には、医師の説明をよく聞き、疑問点を解消するようにしましょう。