病院で「CTスキャン」や「MRI検査」という言葉を聞いたことはありますか?どちらも体の内部を詳しく調べるための検査方法ですが、実は大きく異なります。どちらの検査も、病気やケガの原因を探ったり、治療の効果を確かめたりするために使われます。今回は、CTスキャンとMRI検査がどのように違うのか、わかりやすく説明していきます。
CTスキャンとMRI検査の違い:要点まとめ
CTスキャンとMRI検査の違いを、簡単に箇条書きでまとめてみましょう。
- 原理: CTスキャンはX線という放射線を使って体の断面を写し出します。MRI検査は、強い磁石と電波を使って体の内部を画像化します。
- 見えるもの: CTスキャンは骨や肺など、硬い組織を比較的得意とします。MRI検査は、脳や筋肉、靭帯など、柔らかい組織を詳しく見ることができます。
- 安全性: CTスキャンはX線を使用するため、ある程度の被ばくがあります。MRI検査は放射線を使わないため、基本的に安全です。
- 検査時間: CTスキャンは比較的短時間で終わります。MRI検査は、検査する範囲によって時間がかかります。
CTスキャンの仕組みと特徴
CTスキャンは、X線を使って体の輪切り画像を作る検査です。X線は、体を通り抜ける性質を持っています。CTスキャンの装置は、このX線を体の周りをぐるぐる回転させながら照射し、体の奥にある組織の情報を集めます。それをコンピューターで処理することで、体の断面図である画像を作り出すのです。
CTスキャンの大きな特徴は、骨の内部や肺など、空気の通り道がよく見えることです。骨折や肺炎、がんなどの病気の早期発見に役立ちます。また、造影剤という薬を使うことで、血管や臓器をより鮮明に写し出すことも可能です。
CTスキャンの注意点としては、X線を使用するため、被ばくがあることです。しかし、検査による被ばく量は、健康に悪影響を及ぼすほどではありません。また、妊娠中の場合は、医師と相談して検査を受けるかどうか決める必要があります。
検査中は、検査台に仰向けに寝て、装置の中に入ります。装置が回転するので、少し音がしますが、痛みはありません。検査時間は、10分から30分程度です。
MRI検査の仕組みと特徴
MRI検査は、強い磁石と電波を使って体の内部を画像化します。私たちの体は、たくさんの水分と水素原子でできています。MRI検査の装置は、この水素原子に電波を当てて、その反応を捉えることで体の画像を作り出します。
MRI検査の大きな特徴は、脳や脊髄、筋肉、靭帯など、柔らかい組織を詳細に見ることができることです。脳梗塞や脳腫瘍、椎間板ヘルニア、靭帯の損傷などの診断に役立ちます。また、造影剤を使うことで、より細かい情報を得ることができます。
MRI検査は放射線を使わないため、被ばくの心配はありません。しかし、金属製のものは検査室に持ち込めません。ペースメーカーなど、体内に金属が入っている場合は、検査を受けられないことがあります。また、検査中は大きな音がするので、イヤホンで音楽を聴いたり、耳栓をしたりして、音を軽減することができます。
検査時間は、30分から1時間程度かかることがあります。検査中は、検査台に寝て、装置の中に入ります。じっとしている必要がありますが、痛みはありません。
どちらの検査が適している?
CTスキャンとMRI検査、どちらの検査が適切かは、検査する目的や体の状態によって異なります。医師は、患者さんの症状や疑われる病気の種類、検査のメリットとデメリットなどを考慮して、最適な検査方法を選択します。
例えば、骨折が疑われる場合は、CTスキャンが適しています。脳梗塞が疑われる場合は、MRI検査が役立ちます。また、どちらの検査も必要になることもあります。医師の指示に従い、適切な検査を受けるようにしましょう。
検査を受ける前に、気になることや不安なことがあれば、遠慮なく医師や看護師に質問しましょう。
検査にかかる費用
CTスキャンとMRI検査の費用は、保険診療の適用範囲や検査の内容によって異なります。一般的には、CTスキャンの方がMRI検査よりも安価です。また、検査の種類によっては、別途、造影剤などの薬剤費がかかることがあります。
検査費用については、病院の窓口や会計で確認することができます。高額療養費制度などを利用することで、自己負担額を軽減することも可能です。詳細については、加入している健康保険や医療機関にお問い合わせください。
以下に、CTスキャンとMRI検査にかかる費用の目安をまとめた表を示します。あくまで目安であり、実際の費用は異なる場合がありますので、注意してください。
検査の種類 | 費用の目安 (自己負担3割の場合) |
---|---|
CTスキャン | 5,000円~15,000円 |
MRI検査 | 10,000円~30,000円 |
※上記はあくまで目安であり、検査部位や内容によって費用は異なります。
検査前の準備
CTスキャンやMRI検査を受ける前に、いくつかの準備が必要になります。検査の種類や目的によって異なりますが、一般的には以下のような準備が求められます。
- 金属の取り外し: CTスキャン、MRI検査ともに、金属製のものは検査の妨げになるため、外す必要があります。アクセサリー、メガネ、入れ歯、補聴器などは事前に外しておきましょう。
- 食事: 検査内容によっては、検査前に食事制限がある場合があります。医師の指示に従い、検査前に食事を済ませるか、絶食する必要がある場合は、指示された時間から飲食を控えるようにしましょう。
- 服装: 検査着に着替える場合もあります。着替えやすい服装で、検査を受けるようにしましょう。
- 薬: 普段服用している薬がある場合は、事前に医師に伝えておきましょう。検査の前に薬を服用しても良いか、医師に確認してください。
- 妊娠・授乳: 妊娠中または妊娠の可能性がある場合、授乳中の場合は、事前に医師に伝えてください。検査方法が変更になる場合があります。
検査後の注意点
CTスキャンやMRI検査を受けた後、特別な注意が必要な場合があります。検査方法や検査内容によって異なりますが、一般的には以下のような注意点があります。
- 検査結果: 検査結果の説明は、後日医師から受けることになります。検査結果が出るまでの間は、医師の指示に従い、普段通りの生活を送りましょう。
- 造影剤の使用: 造影剤を使用した場合は、副作用が出ることがあります。検査後に体調が悪くなった場合は、すぐに医師に相談しましょう。
- 水分補給: 造影剤を使用した場合は、水分を多めに摂るようにしましょう。
- 運転: 検査後すぐに運転しても問題ありませんが、検査の影響で体調が優れない場合は、運転を控えるようにしましょう。
検査後に何か気になることがあれば、遠慮なく医師や看護師に相談しましょう。
CTスキャンとMRI検査は、どちらも体の内部を詳しく調べるための大切な検査です。それぞれの特徴を理解し、医師の指示に従い、適切な検査を受けるようにしましょう。